透析患者のケア

今日は祝日であるが透析当番。透析の患者さんに休みも正月もお盆もない。
自分の復習として、ガイドラインを読み直す、折角だからまとめる。いかが、とりあえずの作品
docsには番号や箇条書きが入って、見やすいのだが、c/pにて消失。
現在透析導入の原因疾患の一位が糖尿病であること。聞き耳であるが様々の理由により日本全体の血液透析の患者数はEUのそれと同じであること、やっぱりmultimorbidityの患者さんが多いし、週2,3回通う以上、近くである必要があるし、透析日はなかなか他院を受診する余裕も時間もないので、「ここでは腎臓しか見ません」という施設より、何でも見てくれる方がよいはず。というわけでgeneralistが透析患者のケアをするのは全身の血管を痛める糖尿病を代表とする生活習慣病の管理と基本的理念において変わらない視点で透析導入前からずっと継続して診る(勿論透析に特異的な管理指標はあるが)という意味で、非常におもしろい領域ではないかと思う。(すっかり洗脳されてしまった)
まあ、generalistとしてのケアできる範囲が拡がるにこしたことはない。

現況
透析患者 25万人
人口100万人あたり2017人 (1000人あたり2人という事で、white/greenの論文と比べると、大病院に入院する患者の頻度と同じかその倍)
1500のカルテを持つ標準的な日本の開業医では約6000人の地域をカバーしている計算なので、透析患者さんは12人の計算
導入後1年生存率88.4%
5年 63.1%
10年 40.7%
15年 28.9%
20年 23.2%

個人的に興味深いのは、透析の患者さんはフォローがとぎれることがないので、(自分の施設でなくても必ずどこかで透析を受ける)、血液データなども含め、長期的に詳細な疫学データが得られることである。結果

図説 我が国の慢性透析療法の現況(2006)

に示されるように詳細な、データ(特に生命予後に影響を与える因子)が日本人のものとして得られており、そのため、エキスパートオピニオンではなく(それも重要だが)、data-basedで日本独自の管理目標値が設定されている。Hgbの管理目標やintactPHTのそれは欧米よりも低く設定されており、その根拠も明確に示されている。

日本の透析患者さんの死亡リスクはDOPPSによると欧州の1/3、米国の1/5。

使用は各個人の責任で。
—————————
透析回診用メモ

ルーチンで診るもの

1.透析効率
透析直後はBUNリバウンドを考慮しない為過大評価となるが、ガイドラインはこれを用いているKt/Vspと表現
日本の平均は1.34
Kt/V 1/0-1.2を標準とした場合 1.6までは死亡リスクの減少 RR0.65程度、1.0未満はリスク増大1.3程度
透析時間は4.5時間までは長い方が予後がよい Kt/V透析時間は独立した予後規定因子(DOPPS)
2.体液
血圧、尿量、体重
3.貧血 「慢性血液透析患者における腎性貧血治療のガイドライン」JSDT, 2004
目標 週初め(中2日)の透析前の採血でHgb 10-11,(Hct30-33)
皮下注により静注の30-38%減できる
1回あたり静注1500-3000単位 週3回 週あたりHgb0.3-0.4g・dL(Hct1%)の上昇速度を超えない
4週後Hgb上昇度1g/dL未満(Hct3%)の場合、静注1回3000単位週3回を継続
4週で上記の上昇度を得られない場合はrHuEPO抵抗性として原因検索を(ガイドライン)
若年者は高めの目標
rHuEPOの副作用としては高血圧、血栓塞栓症、赤芽球癆などがあるこれらの出現には注意すべきで
ある
鉄欠乏の診断基準 TSAT<=20%, ferritin<=100,
投与 透析終了時に透析回路よりゆっくり静注(コンドロイチン硫酸鉄鉄コロイド40mg など)、毎透析ごとに計13回、もしくは週1回3ヶ月、投与終了2週後に採血で再評価
TSAT:トランスフェリン飽和度
TSAT(%)=〔血清鉄(μg/dL)×/総鉄結合能(TIBC)(μg/dL)〕×100
4.Ca,P 透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症治療ガイドライン
アウトカムを生命予後とした場合血清P 血清Ca 血清PTH の順で寄与度が高い
低アルブミン(Alb)血症(4g/dL 未満)のある場合は必ず補正値を用いる
Payneの式:補正Ca(mg/dL)=実測Ca+(4-Alb)
P,Caの濃度をすべてに優先 P 3.5-6.0mg/dL, Ca 8.4-10.0mg/dL
高Ca血症では活性型ビタミンD と炭酸カルシウム減量中止高P 血症ではP 吸着薬の増量と活性型ビタミンD 減量中止を図る ガイドラインの図がわかりやすい
これが達成されている場合のみintactPTHを60-180pg/mLに(下限はオピニオン) 第3世代測定系換算で(35-106)低値に対しての介入はあまり書かれていない
治療抵抗性は早めにインターベンションに(PEITなど)
付記
K/DOQIとの目標は若干違う CaP<55はJSDTでは何も言われていない 日本ではPTHをより低めに(K/DOQIでは150-300)
CKD-MBD 検査値の異常、骨の異常、軟部組織の石灰化の3つ
骨代謝マーカーとしてはALP
トータルのカルシウム負荷(炭酸カルシウム)は1日3gまで
リンの食事指導は1位日700mg以下

定期診察で診るもの(上記に加えて)

サマリーシートへの指導医の書き込み
CTR
Kt/V 透析直後はBUNリバウンドを考慮しない為過大評価となるが、ガイドラインはこれを用いているKt/Vspと表現
DW
処方
オーダー (XP, EKG)
採血入力
定期心エコー、腹部エコー
プロブレムリストのupdate (health maintenanceも忘れずに)
サマリーページの印刷 回診用カルテに

アイデア

QIとしては Hgb Ca, P, PTH

3522例では 35.5% Ca,P共に管理目標 

付記、メモ

K/DOQI

KDIGO Kidney Disease Improving Global Outcomes 2003設立 2008年にガイドラインが出る予定

CKD-MBD Chronic Kidney Disease-Mineral and Bone Disorder

DOPPSによると日本の透析患者の死亡リスクは欧州の1/3、米国の1/5

日本の文献で年齢、性別、原疾患、Kt/V尿素、体重減少率で補正しても Hct30-33が最も5年生存率が低値 (27-30は有意差なし)それ以外はRRが高くなる

NKF-KQDIの推奨はHbg>=11 (かつては33-36% 坐位採血)

透析患者は年間2gの鉄を喪失する(採血、回路内残血など)

1) HD 患者に対するrHuEPO療法の目標Hb値(Ht 値)は週初め(前透析2日後)のHD 前の臥位採血に
よる値でHb値10~11g/dL(Ht 値30~33%)を推奨する
2) rHuEPOの投与開始基準は腎性貧血と診断され複数回の検査でHb値10g/dL(Ht 値30%)未満となっ
た時点とする
3) 但し活動性の高い比較的若年者では維持Hb値11~12g/dL(Ht 値33~36%)を推奨するまたrHuEPO
投与開始基準として複数回の検査でHb値11g/dL(Ht 値33%)未満となった時点とする

現実に遭遇するEPO抵抗性の多くは鉄欠乏による鉄欠乏がない場合はその他の抵抗性の原因を検索す
べきであるなかでも抗EPO抗体の出現による赤芽球癆は最も深刻な合併症である
鉄以外の造血に対する必須成分が欠乏することでもEPOの効果が減弱する場合が知られている

P >7で1年予後、>5で3年予後の高い死亡リスク

Ca>10.0で1年予後、3年予後共に高い死亡リスク 低い方は死亡リスクとは関係ない

日本透析医学会
統計調査委員会において日本人のデータベースを新たに解析した結果によればintact PTH 値が180
pg/mL 未満であった患者群は180pg/mL<intact PTH<360pg/mL に設定した標準群よりも1年死
亡率が統計学的に有意に低いことが判明した3年死亡率で比較すると標準群よりも統計学的に有意に
低かったのは30pg/mL<intact PTH<120pg/mL の患者群であった同様な検討を補正因子を変え
たりintact PTH 値の区切りを変えたりして繰り返してみるとそれぞれの死亡率が60pg/mL<
intact PTH<120pg/mL を最小とする緩やかなJ 型曲線を描くことが再現性をもって確認された本
ガイドラインではこの事実を踏まえた上従来の管理目標からの移行の容易さ適応の容易さなどを
考慮して60pg/mL<intact PTH<180pg/mL を末期腎不全患者におけるPTH の目標範囲に設定し
たただし統計学的に有意ではあっても死亡率のハザード比は標準群に対して最小でも0.83であり
その差が決定的に大きいとはいえなかった

透析療法ネクスト VI
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関連リンクはここ

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透析患者のケア」への1件のフィードバック

  1. >インタビューで渡米しています。バイトで透析病院の当直をしているのですが、CVに書いたら「透析の管理の管理もしているの?」と驚かれました。バイト医師の実情は、日本にいる先生ならご存知だと思いますが・・・。そういう意味で、勉強するとっかかりをいただいてありがとうございます。日本の透析の実績がすばらしいというのは知っていましたが、ここまでとは驚きです。

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