月別アーカイブ: 5月 2008

千葉大学に寄付口座 (循環型地域医療連携システム学)

表題の通り

「千葉大学における寄附講座の設置について」
ー循環型地域医療連携システム学講座ー

いわゆる立ち上げイベントが本日実施される

県では医師不足等による地域医療の崩壊を防ぎ、病院や診療所などの限られた医療資源の効率的活用のため、千葉県保健医療計画を見直し、患者の症状に応じた医療機関等の治療と健康づくり・福祉サービスが利用できる「循環型地域医療連携システム」の構築などを行いました。
今回、当該システムの具体化にむけ、県内唯一の医師養成機関である千葉大学大学院医学研究院において関係事業の研究・普及を行うことを目的とした「循環型地域医療連携システム学」寄附講座を開設します。
なお、この寄附講座には「地域コース」を設け、地域に指導医及び後期臨床研修医を派遣し、地域医療の支援を行ってまいります。
つきましては、平成20年5月28日(水)に千葉大学学長との間で、この講座の開設について、協定の締結式を執り行います。
また、寄附講座開設プレイベントとして、寄附講座担当客員准教授(予定)によるプレゼンテーションも同日実施いたします。

客員准教授にはケアネットなどでおなじみの,

馬杉綾子氏 (千葉大学大学院医学研究院循環型地域医療連携システム学客員准教授 6/1就任予定)

とのこと.教授はこれから募集かな.

循環型地域医療連携システムの詳細はこちら(pdf)

表題のところにproject Bremenという言葉ともに動物の積み重なったロゴがあるので(いわゆるブレーメンの音楽隊から?)調べてみたら,

ブレーメン型地域社会づくりモデル事業第1号拠点施設を整備する民間事業者を募集します。

とあり,

地域で生活する子どもや障害のある方、高齢者、主婦や学生など一人ひとりの住民が、お互い助け合い・支え合いながら地域で住み続けられるブレーメン型地域社会の実現を目指しています

と説明.

よくわからないが,さらに調べると健康千葉21のHPに説明があった

ブレーメン型地域社会づくり

「ブレーメン型地域社会」とは、グリム童話の「ブレーメンの音楽隊」に因んで名付けられたものです。
ロバとイヌとネコとオンドリが、お互いに個性を生かし泥棒を退治して、仲良く1つの家で暮らしたように、子ども、障害者、高齢者などを含む様々な立場の県民が、それぞれの個性を生かしながら仲良く暮らしていける地域社会をつくっていこうという願いが込められています。

平成16年からプロジェクトブレーメンが始まったそうです....

平成16年7月に、新たに設置された作業部会・研究会を舞台として、「プロジェクト・ブレーメン」が始まりました。

プロジェクト・ブレーメンの6つの作業部会・研究会は、平成16年7月から平成17年8月(一部は18年3月)まで開催され、公募の委員を含む123名が県内各地から夜間中心の93回もの会議に参加し、検討結果・提言がまとめられました。

様々な方が集う住まいの場(ブレーメンのお家)研究会
あなたに合わせた支援」を星の数ほど研究会
明日の地域福祉を創る」人材育成作業部会
「誰でもわかる」福祉サービス評価システム作業部会
「誰にもやさしい」まちづくり研究会
「新たな地域福祉像」実現のための事業と財源のあり方研究会

どうやら堂本知事の2005年の宣言からのようですが...

何らかの制度改革があって,寄付講座を作りやすくなったとのことで,あちこちに寄付講座とその教授が生まれていますが,寄付金は年限があることが多いので,その間に自活できる財源をとるか,寄付金を延長するかしないと存続できなくなるので,在籍中の活動がどうもそのため(講座・自分のポジションのサバイバル)だけに,大半をとられそうで,寄付をした人たちの意図や要望をかなえるためのプロジェクトはどうなるのだろうと勝手に考えてしまいます.(自分のポジションの心配をしないといけないのは,サラリーマンでも自営でもみんなそうなのですが...)

感染症の雄 岩田健太郎氏も神戸大学へ移ったとのことで医学部と思っていたら,
工学部のキャンパスだった.

神戸大学都市安全研究センター

部門の意図はよく分かるし,彼は適任と思うけれど.....工学部のキャンパスまで上り坂大変なんだよな...

なんだかつぶやきシローみたいになってきた.
結論はありません.それぞれ何らかの結果が出ることを願ってやみません.

P.S.やっぱり教授というのはならないと気がすまないのかな...

事前確率はどこから来るのか? (Where do pretest probability come from?)

LR (likelihood ratio)やBayesの定理など臨床推論に絡む話をするとほぼ必発の質問

「そもそも最初の事前確率はどうやって知るのですか?」

至極妥当な質問である.

ある診断が問題になっているときにその診断に役に立つ症状や身体所見,検査値の異常があったり無かったりするとき,最終的なその診断の確率 posttest probailityはそれに対応するoddsの形で

pretest odds x LR+(A)x LR+(B)x LR-(C)x LR+(D)x LR-(E)x LR+(F) =posttest odds

(例えば症状A,Bはあるが症状Cがない,身体所見DはあるがEはなく,検査Fが陽性の場合)

として表されるLR+\-は全てその症状,所見,検査に固定された数字なので(本当は違うのだが),最も大事なのはpretest oddsの見積もり,つまりそれに対応するpretest probability(事前確率)の見積もりが最も重要である.その見積もりにが大幅に違うと,その後の問診,診察検査が適切であっても,事後確率は影響を受ける.しかしその方法については意外と書かれていない.

その質問に答える際にいつも引用している論文がこれ

Richardson WS: Where do pretest probabilities come from?
ACP Journal Club 1999, 4:68-69.

あいにく購読していないと読めないので骨子だけ抜粋

pretest probabilityの源となりうるものは4種類

1.Remembered cases
2.Practice database
3.Planned research
4.Population prevalance

1.医師の経験から.当然診療所でやっている医師にとっての発熱咽頭痛の最終診断の上位(大半は風邪)と,化学療法で白血球が下がっている患者さんばかり見ている血液腫瘍内科医にとっての発熱咽頭痛の最終診断の上位は違う,その領域で長くやっていればやるほど,「その領域,セッティング,状況」での様々な事前確率の見積もりは正確になるが,そのぶん,「領域,セッティング,状況」が変わると見積もりが外れる確率が高くなる.
また直近の経験によりバイアスを受ける(最近脳腫瘍による頭痛を診たとか,見事珍しい病気を診断したとか,自分の興味のある領域の疾患が高く見積もられるとか)
胸痛の患者において,循環器内科医は心臓疾患を,消化器内科医は消化器疾患をgeneralistの見積もりよりも上位に上げることは知られている.

2.自分の診療所が非常に整理整頓されていて,この様なことを意図して診療すると自動的にデータがたまるようにしていれば,(そうでなくても調べることが出来れば),自分の医療機関での事前確率はしっておくことができる.咽頭培養を出した全部の患者のうち溶連菌がどのぐらい陽性なのか.この数字が検査室や検査の外注会社に出してもらえれば,「この人は咽頭培養を出そう」と考えた人の溶連菌の事前確率そのものである.
それがわかっていて迅速キットの感度特異度がわかっていれば,事後確率の見積もりはたやすい.
電子カルテがあれば,そのようなデータ収集も容易になるだろう.

3. そのような事前確率を知るために計画されたリサーチは多いので,PubMedなどに当たることで,見事見つけられるかもしれない.また,必要なら,そのために自分の診療所で前向きに計画を立てるのも良いだろう.

4. 代表的な疾患なら,市町村や保健所が統計を取っている場合もある.また,国民衛生の動向等も使えるだろう.

ただし現在の所,医学生も,経験ある医師も事前確率の見積もりは不正確,ということになっているようです.

以下同じ著者による最近の論文(こちらは読めます.ほぼ同じような内容です)

W SCOTT RICHARDSON. Five Uneasy Pieces About Pre-test Probability. J Gen Intern Med. 2002 November; 17(11): 891–892.