一般医療機関のための新型インフルエンザまん延期の診療継続計画

今日,地域のホテルの支配人の方の診察で,新型インフルについて雑談

患者さん「そういえば明日,関西から修学旅行で200人ぐらいお客さんが...」

私「えっ!!」

患者さん「だったのですが,電話があって延期になりました」

医療機関は風邪症状や熱の有無などである程度スクリーニングをかけられますが,一般の第3次産業(サービス業)の人たちは,名前や,どこから来たか,症状があるかないかなどを訪ねることすらしませんので,いつどこで感染に暴露するかもしれないという医療人としては結構怖い状況だったりします.

この方にお話ししたこと
「誰が新型インフルか見分ける努力ではなく,可能ならばマスク,手洗いなどを行って,誰が持っていたとしても,もらわないような仕事の仕方をしましょう(医療人には当然のコンセプトuniversal precaution)」
「今治療中のxxxxをしっかり治療しましょう.(まだ治療としては不十分なので)」
「従業員の2-3割が仕事に出てこられなくなっても通常業務の維持できる体制を考えておいてください」

3つめのアドバイスですが,ちまたではそれほど重要視されていませんが,個人的には準備しておくことが重要と考えています.

一般医療機関のための新型インフルエンザまん延期の診療継続計画

本当の蔓延期にはいったら小売店や流通がストップするか,業務縮小という可能性があります.また自分のところの医療機関の職員も感染するヒトがでますので,本人は病人でなくても学校が休校になったら誰にも預ける人がいないなどの理由で職場に出てこられなくなる人がいます.当然,処方薬や注射薬などの診療材料の流通も納入期が伸びたりなどということも考えられます.

家庭医としてやはり気になるのは自分たちが責任を持って継続診療をしている多くの患者さんの健康維持です.

「様々な診療材料など事業に必要な仕入れが滞って,従業員が2-3割減になったときに,どのように通常の慢性疾患の患者さんの診療を維持するか」
「診療所や薬局に来ることなく慢性期の投薬,診療を継続できるか」
などを考えておくにも待ったなしの状況です.

上記のマニュアルには,そのような視点でもれなく確認するべきチェックリストが含まれています.

そして,食料品の備蓄に関しては

農林水産省のサイトから

からわかりやすいパンフレットが手に入ります.

どちらも毒性の高い鳥インフルエンザを想定して作成されたものなので,そのまま運用するとかなり厳格ですが,蔓延期に新型インフルエンザの患者さん「以外」の診療を継続するにはどのようなことを想定しておかなければならないかについて事前の検討が出来る良い資料です.

先ほどまでクリニックのロビーで夜7時のNHKのニュースを見ていましたが

感染者数が135人 兵庫県の北部(豊岡など.土地勘のある人には分かると思いますが,館山よりもへんぴな田舎です)でも患者が出ています.

アメリカ,メキシコ,カナダについで世界で4番目の感染者数になってしまったようです.(諸外国では単なる風邪症状で検査しない,というのもありますから検査バイアスもあると思いますが)

全ての事業体ではないですがニュースでは駅のキオスクの従業員に感染がでて売店休業とか,保育園は休んでしまっていて,子どもを職場に連れて行くお母さんや,食材の配達の生協は直接接触をしない(通常は5-6人の地区グループ毎に決まった時間と場所に自分の注文を取りに行く)事になり,配達員がそれぞれの家の前まで持って行って,ドアを開けることなく,おいていくというような対応をしていました.

病院では実際に外にテントを出して発熱外来を実施しているところもありました.

今回のインフルで社会機能を止める必要があるか問うところはまだ議論の余地があると思いますが,実際に現在の事なかれ手技の日本では,「一応」自粛するところが多いと思われ,やはりこちらとしても「一応」まん延期の診療継続計画は立てておく必要があると思うのですがこういう事が負のスパイラルを招くのでしょうか.

当院では100人以上の従業員がいますので先週から部署毎に新型インフルエンザについての説明会を開催しています.どのようなことを知っておけばよいかなど.

また昨日は抜き打ちで緊急連絡網のテストをしました.今回のことで1分1秒を争う緊急事態は起こらないと思いますが,連絡網のラインによって20分で連絡が伝わったところもあれば2時間かかったところもあります.また意外と連絡が取れない人もいたり,伝言ゲームそのままで,時刻などが間違って伝わったラインもあり,追い立てられる形でいろいろなことを整備していますが,本当の緊急時に向けての良いリハーサルになっています.

ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい。
–寺田 寅彦 (1935年) 巷の放射線への反応に対して.

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