Plagiarismって知っていますか?

自分のことをアカデミアに生きる人間(大学にいる人間だけがアカデミアに生きているのではないし,大学にいる人間がアカデミアに生きているとは限りません)と考える人にとっては知っておきたい単語です.
日本語では知っていると思います
Plagiarism=盗作
のことです.
私も厳密なacademic writingについてきちんと教わったのは,米国の大学院に行ってからです.通常は大学(undergraduate)の最初の最初できちんと教わるのですが,私の場合は医療倫理学のコースの課題を出したときにこっぴどくしかられて学びました.
要は自分の提出した課題論文に引用元から大量に引っ張ってきていたのです.勿論出典は書いていたのですが,大量にそのまま引用したことが問題とのことでした.詳細は忘れました.

それ以降,それだけが理由ではないのですが,このことについてはまじめに考えるようになり,これまでもあちこちで発言しています.

2007/11/13
Authorship(学会や雑誌での学術発表を前提とした研究、プロジェクト)

特にコンピュータが発達していわゆる「コピペ」が簡単になって状況はひどくなる一方です.特にそれが授業の成績評価の対象になる課題論文だったり,入学試験や入社試験の論文の場合は,評価をする側がかなり注意をしないと,大半がネットからのコピペにもかかわらず合格点を出してしまう,といった事態が生じかねません.

実は米国のアカデミアでもそういうことが起きています.
Plagiarism in Graduate Medical Education. Ariel Forrester Cole, MD Fam Med 2007;39(6):436-8(pdf)
とある病院の老年医学のフェローシップへの応募書類 過去2年間で総数26件のうち3つのpersonal statement(志望動機)が同一のWebsiteからの盗用部分を含んでいた.(10%!)
どうやって見つかったかは,レジデンシーディレクターが全く別の地区からの応募の書類が驚くほど似ていることに気づき,調べてみたところ,現在も存在するwebsiteから入院中に治療した高齢者が良くなって外来で再開するというちょっとしたいい話が数十行にわたってコピーされていた,とのこと.(原文にはそのまま盗用部分が出典と共に引用してあります)さすがに最後はそれぞれが独自に書いたようですが.
現在もfamily medicine personal statementと検索すると大量にサンプルを見つけることが出来ます.
前出の著者はなぜ盗用をするのかについての考察として
1.インターネットによって簡単に手にはいるから
2.英語が主言語ではなく,また医療をする上では正確な文法に則った英語が要求されるわけではないから,英語で医療が出来ても,きちんとした英文を書くというトレーニングを受けてないし,英語を母国語とする人にとってもまとまった文章を書くことからしばらく離れて居るために,ついつい (そういう意味ではblogを書くことは良いトレーニングかも知れません)
3.世代によって盗用に関しての価値観が違う(それほど悪いこととしての意識がないかも知れない)学生が別の学生のために提出課題の文章を書いたことを指摘したら「それは出版がされるわけでもないし,”大した”科目でもないし,友達を手伝って上げたという良いことをしたからそれでバランスがとれるでしょ」といわれた話を引用.

この後エッセイは
このことはプロフェッショナリズムの問題ではないか,ではそれは教える必要があるのではないかと続きます.

当然問題は医学分野だけではないようで,最近,それを解決するする支援ソフトが出来たようです.

ネット上からの不正コピペを判断する支援ソフト「コピペルナー」12月11日13時15分配信

 機能としては、1つもしくは複数の文書を読み込み、webページや文献データベースを検索。それにより、コピー・アンド・ペーストが行なわれている箇所を解析するとうたう。判定結果には、コピペ割合やコピー元の文献などを表示。コピペしたと思われる箇所は、完全一致またはあいまい一致によって色別で表示されるという。さらに複数の文書を読み込み、文書間のコピペを点検し、グループ化して相関関係を表示することができる。

教育機関向けのスタンダードライセンスは45,675円。スターターライセンス(シングルチェッカーのみの機能)は9,450円。スターターライセンスからのアップグレードは38,850円。ビジネス向けのスタンダードライセンスは67,200円。全て1ユーザーあたりの価格で、スタンダードライセンスについては、ユーザー数に応じてボリュームディスカウントを提供する。

しかし医療も教育もベースに信頼し合う人間関係があるから成り立つはずなのに,どちらかがその信頼を裏切り始めると,予防線のために使う資源(時間,人,金)が増える一方で,コピペは時間節約のようで間接的に相手の時間を奪い,それは,回り回って自分に割いてもらえる資源を奪っていることになるのです.

大切なことは,書く場合も,しゃべる場合も自分のオリジナルではない事柄については引用し出典を明確にすることで,

どの部分が自分のオリジナルか

を明確にするということです.

plagiarismについて学びたい人は以下のサイトが紹介されています(英語ですが)
http://www.plagiarism.org
http://www.web-miner.com/plagiarism

盗用の問題ではないのですが,沢山の応募書類(留学,初期研修,後期研修)を見ていると,本当に内容が似通ってきていることが気になります.

サンプルや例を参考にするのは,標準の型を知ることと,如何に自分しか表現できない物語を語るかを見つけ出すために,既に他者によって為された表現を「禁忌肢」として認識するため,と心得たいですね.そのためにはむしろ大量に参照すべきと思います.

付記:(12/23/09)
触発された記事を引用しておきます.エントリー作成当時は見つけられなかったのですが,見つかりましたので
「コピペ」は「効率アップ」じゃない

いまretweetやreblog全盛で,簡単に編集できてしまうので,引用と盗用の境界に気をつけないと気がつかずに誰かの気分を害してしまう可能性がありますね.

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