Q&A「頭寒足熱」の医学的根拠を教えてください「健」2012年 1月号 Vol.40-10 p.13-14

養護教諭は看護師や保健師の免許はいらないことをご存知でしたか?(あくまで教員免許だけです。もちろん両方持っている人もいますが,必須ではありません)

このところ執筆依頼が続いています。(うれしい悲鳴)
ある日突然、日本学校保健研修社「健」編集部というところから執筆依頼の郵便。
ほどなく電話があり、いろいろとお話を聞きました

養護教諭向けの雑誌が主要なものが2つあるがそのうちのひとつだそうです。養護教諭がふと抱える健康についての疑問や保護者から受ける質問などを専門家が答えるQ&Aのコーナーがあるそうなのですが、その中に表題の
「頭寒足熱」の医学的根拠を教えてください 
というのがありました。
それまでに抱えていた各科執筆陣にいろいろ聞いてみたところ、みなさん「僕の専門ではない」「家庭医みたいな人がいいんでないの〜?(家庭医,という言葉が出たかどうかははっきりしませんが)」とのことで,一生懸命家庭医を探したところ私のところにたどり着いたとのことでした。(これもネット経由)

雑食の医者としては、そんなことならお受けしない理由はない(求められればなんとか答えようとするのが家庭医の性(さが))。
ということで,いろいろ調べてみたら「意外な事実が!」
何でも興味を持って調べてみるものですね。

執筆はそれこそ看護師ももたない養護の先生方向けに書きましたので、学術的な記述はありませんから、それも含めてもう少し詳細にここで,紹介しておきます。(いわゆる最近のDVDについてくる「メイキングオブ〜」です)

http://school-health.co.jp/index.html
http://school-health.co.jp/ken_news.html

Q & A
■「頭寒足熱」の医学的根拠を教えてください
Q:M・S/A:岡田 唯男

岡田唯男 Q&A  「頭寒足熱」の医学的根拠を教えてください 「健」2012年 1月号 Vol.40-10 p.13-14

さて本文はこちら
原稿の公開の時期と方法については、出版社の快諾を得ております。(編集部 ◯本千◯さまありがとうございました)

http://www.scribd.com/doc/75813813

執筆の手がかりはここから
http://med-legend.com/column/urbanlegend7.html

真ん中あたり
ただしこれだけを転記しては学問に携わるものの端くれとしては不十分。
その裏を取りました。

プロジェクトグーテンベルグ http://www.gutenberg.org/ と称して,古い本をネットに。(青空文庫のようなものですね)
http://www.gutenberg.org/files/14985/14985-h/14985-h.htm
The Project Gutenberg EBook of Valere Aude, by Louis Dechmann
において、2005年にネット化されたLouis Dechmannによる、1918年の書籍、 
Valere Aude(DARE TO BE HEALTHY) or THE LIGHT of PHYSICAL REGENERATION
A vade mecum on BIOLOGY and the HYGIENIC-DIETETIC METHOD of HEALING
というタイトル。
さしずめ「健康に生きる(生物学と、癒しの為の衛生と食事の方法のマニュアル)」といった感じでしょうか。

ここにBoerhaave/ブールハーヴェ(ボーアハーヴェ?)の記述があります。
長いがそのまま引用

“Art may err, but Nature cannot miss,”—is an aphorism attributed to the poet Dryden. It adequately supports Dr. Rucker’s wise, significant and timely pronouncement and reminds me of an illustrative incident recorded in connection with the world famed physician Boerhaave of Leyden,—Holland’s chief centre of learning—who lived some 250 years ago, when doctors knew less than at present of the circulation and functions of the blood.

Boerhaave, it appears, conceived the idea of a sort of posthumous pleasantry, of a distinctly lucrative nature, at the expense of his medical brethren. Professional ignorance and popular superstition had alike surrounded his name with a halo of mystery and he was credited with almost miraculous powers of healing and the possession of the Secret of Disease and Health.

At the sale of effects, following his death, there was a great gathering of the most celebrated physicians of the day and his books and records fetched fabulous prices. But one special tome, ponderous, silver-clasped and locked, entitled: “Macrobiotic, The True and Complete Secret of Long, Healthy Life,” was the cynosure of every avaricious eye. The auctioneer shrewdly reserved it until the last. Amidst a scene of unparalleled excitement and competition the Great Book was at length knocked down to a famous London physician for no less a sum than seven thousand Gulden. When opened with eager anticipation before the disappointed bidders, its pages were found to be blank—with one exception. Upon this one was inscribed in the handwriting of Boerhaave himself, only these ten words:

“Keep the head cool, the feet warm, the bowels open.”

Turning to an excited audience it was thus the great London authority spoke:

“I once heard it said that the world is simple; that health is simple; that it is the folly of man that causes all complications, and that it is the delicate task of the true physician to reduce everything to its original simplicity. Heaven knows that our great Master, Boerhaave, has solved life’s problem. To me this truth is well worth the 7,000 Gulden I pay to secure it; while to you, my friends, who have travelled from distant parts of the globe in search of it, receive from me the legacy of our Master and also be, likewise, content.”

彼の死後彼の著作がオークションにかけられ,その中で最も注目された”Macrobiotic, The True and Complete Secret of Long, Healthy Life,”というタイトルの錠のかけられた本が最後の出番となり、7000オランダギルダー(2002年にユーロに統合されるまでオランダの通貨。1オランダギルダー=0.59USドル 約4000USドル)で落札。皆の前で開いたところ,10単語を除いては全くの白紙だった、ということで、”Keep the head cool, the feet warm, the bowels open.”としか書いていなかったとのこと。
健康とは本当にシンプルなものだ,という話。

さて、この、”Keep the head cool, the feet warm, the bowels open.”という表現、これだけでは,物理的に「頭寒足熱」の意味ととっても良いと思われるが、(+腸を開く)、そうではないだろうと考えさせられるのがオールド・パーの逸話。(文頭の写真にいれたウイスキーの名前で有名なオールド・パーです)

Thomas Parr
http://www.westminster-abbey.org/our-history/people/thomas-parr
1483−1635(152歳!)
80歳で始めて結婚し、20年盲目で、なくなる年に王様にあう為に始めてロンドンへ連れ出されて数週間で他界。なんとあのウィリアム・ハーベイ(全身の血液循環を始めて詳細に記述)に検死され、「食事の変化と豊かなワインと町の空気の汚染が年老いたParrにはこたえたのだろう」といわれた.

A diet of green cheese, onions, coarse bread, buttermilk or mild ale (cider on special occasions) and no smoking kept Thomas healthy.His recipe for long life was reputed to be “Keep your head cool by temperance and your feet warm by exercise.Rise early, go soon to bed, and if you want to grow fat [prosperous] keep your eyes open and your mouth shut”.

ここに彼に長寿の秘訣を尋ねたら「頭は冷静に保ち、運動をして体を暖め、早起き、早寝をして、もしお金持ちになりたければよく目を見開いて、口は閉じておけ(観察を良くして,余計なことを言うな)」と言ったとのこと。

1918年の書籍にBoerhaaveが約250年前に存在,とありますから、1668年頃。Old Parrがなくなったのが1635年頃ですから、時代としてもそれほどずれておらず、152歳まで生きた(おそらく戸籍などもなく不正確とは思いますが)、Parrの話はオランダの名医Boerhaaveにも届いていたのでしょう.
「健」の原稿にも書きましたが、Old Parrが英語で言ったものがオランダ語で記載され鎖国中の日本へ入って来てという2度の翻訳過程で文字通りの翻訳だけが一人歩きしたのだろう(という推測)

一応,文献も検索したのですが、これがある意味さらに驚きを生むこととなりました。(パート2へ)

関連ページ
(part 2) Q&A「頭寒足熱」の医学的根拠を教えてください「健」2012年 1月号 Vol.40-10 p.13-14

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Q&A「頭寒足熱」の医学的根拠を教えてください「健」2012年 1月号 Vol.40-10 p.13-14」への1件のフィードバック

  1. 書いた記事読みました。ブログの続きも続き待ってるよ~(笑)。

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