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postitive deviance/deviant

尊敬する先輩のblogに触発されて昔読んだコンセプトを思い出した.(positive showerがあふれ出る先輩で会うといつも元気になるので大好きです)

後半の麻疹対策もそれはそれで,目を見張るのだが,質改善のための方法論について

問題ばかりが目に付くとnegativeな報告や会話になりがちですが、「うまくいっている病院をモデルにしてみよう」というやり方もありますね。
成果=Evidenceは説得力があります。

「ICUの抗菌薬使用量が半減」「広域抗菌薬は年一桁」というような病院が実際にあるわけです。

Best practice modelにはいろいろあります。「言語化」できるかどうかはひとつのカギです。できる人たちだけやればいいわけではありませんので。

残念ながら引用が出来ないがおそらくいつぞやのHarvard Business Reviewだったと思う

postitive deviance/deviant

についての記載があった.そこで挙げられていた例はある保険会社が全体にどの営業所も軒並み売り上げが落ちている中で,なぜか一つだけ売り上げを伸ばしている営業所があった.そこのやり方が他の営業所と何が違うかを徹底的に調べて他の営業所ではやっていなかった行動を他の営業所に取り込む,という事例で,その一つだけ飛び抜けている営業所のことをpostitive deviantと呼ぶ.

同じような症例が下記の本で紹介されていたと思う.(定かではないが)
ファーストフードのチェーン店で同じような来客数なのに売り上げに大幅な差がある2店舗に実際にいって,何が違うかを観察すると,売り上げの多い方は「もう一品いかがですか」「サイズは大きくしますか」などのお勧めのせりふが毎回確実に言われていたが,低い店はそれが徹底されていなかったとのこと.(やっぱり意味あるんですね)

本当にそれが売り上げの差の原因なのか,他の要素に差はなかったのか,交絡因子は?という反応をするのがほとんどの医師.

質改善の活動と研究は別物である

ということが理解されていない.というより,「質改善活動」そのものを体系立ててはこれまでの医師は教わったことがない.質改善活動は良くなりそうで,出来そうなことはとりあえずやってみる,それで良くなれば続ける,相でなければ方法を再検討する.というやり方で,結果として現場が良くなれば良し,とする立場.

その事の詳細はまたの機会にするとして,

postitive deviance/deviant

という言葉は未だ日本語にはなっていないし,それほど浸透してもいないようである.
ただ,「best practice modelから学ぶ」という言葉はある.基本的には同じ.

Positive Deviance Initiative
より,

What is Positive Deviance?

In every community there are certain individuals (the “Positive Deviants”) whose special practices/ strategies/ behaviors enable them to find better solutions to prevalent community problems than their neighbors who have access to the same resources. Positive deviance is a culturally appropriate development approach that is tailored to the specific community in which it is used.

「find better solutions to prevalent community problems than their neighbors who have access to the same resources.」というところがみそ.やはりあまりにも違いすぎる状況では何がその差を生んでいるのかわからないので.

positive deviant network

から

The first successful large-scale field application of positive deviance was initiated in Vietnam in early 1991 to address the problem of childhood malnutrition. Over the following decade, the positive deviance approach to nutrition became a national model and today reaches a population of 2.2 million inhabitants in 250 Vietnamese communities.

Positive Deviance
From Wikipedia, the free encyclopedia

より

Positive Deviance (PD) is an approach to personal, organizational and cultural change based on the idea that every community or group of people performing a similar function has certain individuals (the “Positive Deviants”) whose special attitudes, practices/ strategies/ behaviors enable them to function more effectively than others with the exact same resources and conditions.[1] Because Positive Deviants derive their extraordinary capabilities from the identical environmental conditions as those around them, but are not constrained by conventional wisdoms, Positive Deviants standards for attitudes, thinking and behavior are readily accepted as the foundation for profound organizational and cultural change.

いわゆるヒーローと言うことかもしれません.ただし,positive deviantが必ず目立っているとは限りません.

For example, even though poverty is often the root-cause of ill health, in any community there will usually be some families, the Positive Deviants, that manage to stay healthy, or raise healthy kids, despite their poverty. Their practices, such as washing their hands more often, cooking the food differently, consuming crops that were considered taboo by the rest of the village etc. became the foundation for large scale community change.

あそこは患者さんの病状が軽い人が多いから.指導医がいいから.医者のできが違うから.スタッフが潤沢だから.うちの方が難しい患者の症例をかかえているから,等の言い訳をするのは簡単だろう.
しかし,いいわけをしたらその時点で改善の種(チャンス)は消えてしまう.

「~だからxxできない」では,そこで頭脳の活動がストップするが,そうではなく「どうすればxxできるようになるか?」からはじめるだけで,頭がフル回転をし始める.同じ状態をどのようにとらえるかが成功者とそうでない人との違いである,とは,すでに古典となったロバートキヨサキの著書より(後述)

再度wikipediaより

Their extensions include methodologies and technologies for:

*Quickly identifying the Positive Deviants
*Efficiently gathering and organizing the Positive Deviant knowledge
*Motivating a willingness in others to adopt the Positive Deviant approaches
*Sustaining the change by others by integrating it into their pre-existing emotional and cognitive functions
*Scaling the positive deviant knowledge to large numbers of people simultaneously[

結局その道の達人を見つけ,ノウハウを言語化し,その他の人がそれをまねしようという気持ちにさせ,それを思考過程レベルで習慣化させ,大きな規模に広げる.

組織変革の話になってしまいます.

最後に医学の世界での使用例を(とうぜんあります)

MEERA SHEKAR et al. Use of Positive-Negative Deviant Analyses to Improve Programme Targeting and Services: Example from the TamilNadu Integrated Nutrition Project.International Journal of Epidemiology 1992, 21: 707–713.

The power of positive deviance — Marsh et al. 329 (7475): 1177 — BMJ (BMJにアクセスすると必ずブラウザがクラッシュするのでabstractすら読めてませんが)

飛び抜けたケースを「例外」といって除外するのが量的研究の指向(いいすぎかも)
「なかまはずれ」に意味があるとして,それ自体をよく見たり,なぜ生じたか考えるのが質的指向.

短期間で組織が変わる
石田 淳
ダイヤモンド社 ( 2007-09-29 )
ISBN: 9784478300756
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

金持ち父さん貧乏父さん
ロバート キヨサキ
筑摩書房 ( 2000-11-09 )
ISBN: 9784480863300
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

研修を終え現場に出るレジデント達への十戒

古典(Classic)を読むことは非常に大切である.

日本では余り知られていないが,1982にまとめられたG.Gayle Stephensの1965年から1980年までの23編の著作集”The Intellectual Basis of Family Practice”は米国の初期家庭医療を形作る基盤となった思考である.
先日このオリジナルを手に入れる機会に恵まれ,少しずつ目を通している.
その巻末に,”A Decalogue For Family Practice Residents Entering Practice(研修を終え現場に出るレジデント達への十戒)”と題された付録A .1979年 サウスキャロライナ大学の家庭医療講座での講演の一部ということでたった1ページなのだが,ここに挙げておきたい.(日本語訳と訳者注は私)

A Decalogue For Family Practice Residents Entering Practice
研修を終え現場に出るレジデント達への十戒

*Don’t give up the reform ethos. Keep on the side of responsible change in education , practice, and social justice.
改革の気風をあきらめるな.教育,臨床,そして社会正義に置いて責任を持った変化の一端を担い続けよ.

*Don’t lose faith in the power of relationship and the therapeutic use of self.(Or, don’t hire anybody to save you from spending time with patients.)
医師患者関係の力と,治療としての医師自身への信念を捨てる事なかれ.(つまり,患者さんと過ごす時間を節約するために誰かを雇うようなことはするな)

*Don’t turn your practice into a mere business. It may not be less, and it should be a great deal more.
診療を単なるビジネスにしてしまうな.それ以下では当然ダメだが,それよりもずっとずっと崇高なものでなければならない.

*Learn to distinguish between uncertainty and ignorance; only the latter is remediable and potentially culpable.
不確実なものと無知(無視)の区別がつけられるようになりなさい.後者だけが修正可能で,場合によっては有罪となる.(無知や無視のせいではない本当に不確実なものはどうしようもないが.勉強不足によるものは許されない)

*Find some way to practice charity; i.e., willingly give a part of your services consistently to those who cannot pay.
慈善を実践する何らかの方法を見つけよ.あなたの能力を継続的に,弱き者に喜んで提供しなさい.

*Try to see that the groups in which you hold membership are at least as moral as you are.
あなたが所属する集団のメンバーは少なくともあなたと同じぐらい倫理的であると常に考えるようにせよ.

*Humanize and personalize the microsystems in which you work.
あなたが働くマイクロシステム(通常は診療所や診療環境のこと)を出来る限り人間的で,個人的なものにせよ.(無機質で殺風景なものでなく)

*Act at all times as if the patient is fully autonomous; the weaker the patient is , the more vulnerable you are to violating his/her personhood.
患者は常に自己決定権を持つものとして振る舞え.患者が弱ければ弱いほど,あなたはその人の人間の尊厳を簡単に破壊しやすい状況になる.

*Reflect on your professional experiences. Within the bounds of protecting patients’ privacy, think, talk, and write about your clinical stories.
自分のプロとしての経験を振り返りなさい.患者のプライバシーを尊重した上で,臨床の様々な物語について,よく考え,よく話し,書きなさい.

*Worry less about patients becoming overly dependent on you than about your becoming undependable.
患者があなたに必要以上に依存することを心配するよりは,あなたが頼りがいが無くなる・あなたに頼れなくなることを心配しなさい.

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ほぼ30年前の言葉だが現在の北米家庭医療がその流れをくんでいること,今改めて重要と考えられていることがそのときに既に重要視されていることなど驚く.
振り返りreflectionの重要性は言うまでもない.FFM(future of family medicine)Projectでは家庭の才能の一つとして”humanizing medical experience”というのがあるが,ここに源流を発するのではないか.
耳の痛い話も多い.

Gayle Stephensは米国家庭医療の基礎を作った重要な一人とされている.Keystone conferenceについては知る人もいると思うが,そのI, IIについての発起人.IIIでは発起人4人”the quartet”の一人.
Keystoneについては次を.

KEYSTONE III アメリカ家庭医療学の自己再発見への旅

以前から自分のteachingの中で,”歴史家としての家庭医”ということを時々話してきたが,出展については不明だった.”The Intellectual Basis of Family Practice”の第14章が”The Clinician as Historian”と題されている.彼が言い出しっぺだった.

この本をざっと眺めてみると,今我々generalistが大切にしていることが殆ど書かれている.
医学が進化していないのか.generalismが進化していないのか,それとも,あまりに本質的なので,30年の時代を超えて変わらないのか.

The Intellectual Basis of Family Practice
  • 発売元: Society of Teachers of Family
  • 発売日: 1982/06