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診療の構造 (process of care) :TOPIC: Task-Oriented Processes in Care (TOPIC) Model in Ambulatory Care

診療の構造というのは、特に外来診療において(入院や救急、在宅でもそうだとは思いますが)、どのような手順で、どのような項目を外さずに、どういう構造で診療をすると抜け落ちなくうまくいくか、ということについて示されたモデルのことで、簡単には挨拶、本題、まとめ、という感じですが、その中がもっと細かくなっていることが多いです。
日本の医学教育に置いては、医療面接で簡単には教わることが多いですが、あまりにもgeneric、おおざっぱなもの(挨拶、本題、まとめ程度の)だけでそれ以外はあまり教わることはないように思います。海外に置いても、医師患者関係の構築の比重が他科より大きいプライマリ・ケア領域以外ではあまり教わることはないのではないでしょうか。ほとんどの方は独自の試行錯誤の中から自分の中で有効なモデルにたどり着いているといった状況でしょう。

診療の構造そのものではないですが、その中の鑑別診断、診断について考える、という部分では「鑑別診断の3C」(Common,Curable,Critical/「よくある疾患」,「確実に治療できる疾患」,そして,「重症疾患」)を考慮しましょう、というような思考モデルはよく知られていると思いますが、これは診療の構造という大きな枠組みの中の一部分の構造だけを抜き出したものです。

家庭医療の領域では
よく用いられる診療の構造としては
PCCM: patient – centered clinical method (M. Stwartら)
The Calgary – Cambridge approach
等がよく知られていますが、

下記では診療の構造という言葉ではなく、Consultation theory(診療/面接理論)という名前で、実に多くのモデルが提示されています。
http://www.gp-training.net/training/communication_skills/consultation/consultation_theory.htm

さて、友人のポストで、やはりジェネラリストの教育において診療の構造 (process of care)の議論が重要な肝になるだろうという話で、公開思索を続けておられました。前述のように、様々なモデルが提案されていますが、TOPIC: Task-Oriented Processes in Care (TOPIC) Model in Ambulatory Care と呼ばれる、診療の種類ごとに、構造を分類し、それを下世話ではあるが、taskに小分けして、学生の教育に生かす、学生も診療のタイプごとにやることが明確化され、指導者の側も確認事項の抜け落ちが少なくなる、というモデルが提唱されています。
診療の構造だけではなく、指導の構造もいくつかモデルが提唱されて (five microskills (http://ja.scribd.com/doc/17490374/OMPone-pager) , GRIPEモデルなど)いますが、このTOPICモデルは、
1. 診療の構造の提示=指導の構造の提示ということで、臨床家や学習者(直接患者を診療する人)と指導者が同じモデルで診療の抜け落ちない完結と指導の抜け落ちない完結を達成しよう、としているところ
2. 診療のタイプ分類を行ないそれぞれに異なるタスク設定をしているところ(これはTOPIC独占ではありませんが)

が一つの新規性ではないかと思われ、これまでも個人的にはいろいろな人に紹介してきましたが、備忘録もかねてこちらにまとめておきます。

2の、診療をいくつかの種類に分類するという試みは他でもなされており、Millerのclinical hand

Miller WL. The Clinical Hand: A curricular map for relationship-centered care.Fam Med. 2004 May;36(5):330-5.

クリックしてWilliam330.pdfにアクセス


では、
routine, ceremony, dramaという3分類がなされていますが、これはそれまでに行なわれた下記の質的研究の結果に基づく分類です。
Miller WL. Routine, ceremony, or drama: an exploratory field study of the primary care clinical encounter. J Fam Pract. 1992 Mar;34(3):289-96.

さておき、このTOPICモデルでは診療の種類が5種類に分類されており、

New Problem Visits (新しい問題)
Checkup Visits   (健診)
Chronic Illness Visits (慢性疾患)
Psychosocial Visits  (精神社会系の受診:メンタルヘルス、ストレス、介護、心配事など)
Behavioral Change Visits (行動変容の受診:禁煙、運動など)

上記度の診療タイプに置いても下記の4つのカテゴリーでなすべきタスクをこなす(それぞれのカテゴリー内部でやるべきことは上記の診療の種類によって変わる)ことを考える(真ん中の2つはあまりタイプごとによる差はありませんが)という仕組みです。

Information Processing
Patient-Physician Relationship Development
Integration of Information And Relationship
Life-Long Learning

俯瞰的にわかりやすいのはこちら
https://www.bcm.edu/familymed/index.cfm?pmid=8283

それぞれの指導の様子のビデオや使えるフォーマット(ワークシート)などのCDがついた書籍が出版されており、
Task-Oriented Processes in Care (TOPIC) Model in Ambulatory Care (Springer Series on Medical Education)
http://mediamarker.net/u/familydoc/?asin=0826124259

このモデルを利用しての効果は一応検証されております。

Rogers J et al. Task-oriented processes in care (TOPIC): a proven model for teaching ambulatory care. Fam Med. 2003 May;35(5):337-42.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12772935

ご参考になれば。
Rogers J, Corboy J, Huang W, Monteiro F. Task-Oriented Processes In Care (TOPIC) Model For Ambulatory Care. MedEdPORTAL; 2006. Available from: http://www.mededportal.org/publication/306

書評 http://www.stfm.org/fmhub/fm2005/May/Scott369.pdf

COI(利益相反):ありません。

雑誌「薬局」Evidence Update 2012 ■妊婦の薬物治療 2012年1月 Vol.63 No.1 南山堂

表題の執筆についても貴重な機会を頂きました。

名郷先生監修で過去1年間に発表された注目すべき薬物治療(新しい適応、効果、害、など)をピックアップしてレビューするという特集号で、妊婦の薬物治療について,というお題を頂きました。
こういう機会を頂くことで、自分自身の良いupdateと確認、復習になります。
特に1つ目、2つ目の文献は家庭医(ジェネラリスト)要注意です。

出版社のご好意により最初の1ページだけ公開させて頂きます。(Nさまありがとうございました。オンラインで販売もしているので,その先ご希望の方は購入くださいませ)

evidence update 2012
http://www.nanzando.com/journals/yakkyoku/
2012年1月 Vol.63 No.1
Evidence Update 2012
■妊婦の薬物治療(岡田 唯男)

立ち読みはこちら
http://www.nanzando.com/viewer/916301/index.html

レビューの対象とした論文については出典を下記に提供しておきます。各自で解釈します,という方はどうぞ。

1) Eyers S, Weatherall M, Jefferies S, Beasley R. Paracetamol in
pregnancy and the risk of wheezing in offspring: a systematic review and
meta-analysis. Clinical and experimental allergy : journal of the
British Society for Allergy and Clinical Immunology. 2011;41(4):482-9.
2)Croen L a, Grether JK, Yoshida CK, Odouli R, Hendrick V.
Antidepressant Use During Pregnancy and Childhood Autism Spectrum
Disorders. Archives of general psychiatry. 2011:1-9.
3) Imdad A, Jabeen A, Bhutta Z a. Role of calcium supplementation during
pregnancy in reducing risk of developing gestational hypertensive
disorders: a meta-analysis of studies from developing countries. BMC
public health. 2011;11 Suppl 3(Suppl 3):S18.
4) Buppasiri P, Lumbiganon P, Thinkhamrop J, Ngamjarus C, Laopaiboon M.
Calcium supplementation (other than for preventing or treating
hypertension) for improving pregnancy and infant outcomes. Cochrane
database of systematic reviews (Online). 2011;(10):CD007079.
5) Reveiz L, Gyte GML, Cuervo LG. Treatments for iron-deficiency anaemia
in pregnancy. Cochrane database of systematic reviews (Online).
2007;(2):CD003094.
6) Thangaratinam S, Tan A, Knox E, et al. Association between thyroid
autoantibodies and miscarriage and preterm birth: meta-analysis of
evidence. Bmj. 2011;342(may09 1):d2616-d2616.
7)Piaggio G, Kapp N, Hertzen H von. Effect on pregnancy rates of the
delay in the administration of levonorgestrel for emergency
contraception: a combined analysis of four WHO trials. Contraception.
2011;84(1):35-9.