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あなたの幸せは、私の幸せでもあるのです。 (blog紹介)

本名を公開してのブログ 八藤 英典氏。

私自身が本名を公開してblogをすることに踏み切った理由は下記の梅田望夫氏『フューチャリスト宣言 (ちくま新書 656)』にある。はっきりした文言は忘れたが茂木健一郎氏との対談のなかで、本名を出してのblogが「究極の他流試合」であり、たとえ本名を出すとしてもmixiなどの閉ざされたSNSでは甘い、という表現をしていた事による。

八藤 氏がいつ誰に影響されたのかはわからないが本名で全世界(日本語なので少なくとも日本中)を相手に自分(少なくとも自分の一部)を暴露する決断をし、それを続けていることは大変な勇気のいることである。そのvolunteerismは同志として敬意を表したい。

彼との交流はかれこれ、6年前ぐらいになる。フェロー最終学年の時に、藤沼康樹氏に北部東京家庭医療学センター招いて頂いたときに、学生として研修に来ていた。なぜかそのときの出会いはよく覚えている。同じ時期にそこに研修に来ていた某氏は気がついたら整形外科に進んでいた。家庭医の気持ちをわかる専門医でいてくれるといいのだが。

とにかく、八藤 氏は家庭医を目指して初期、後期研修と進んだ為に、その後あちこちの家庭医の集まりで顔を合わせ、近況報告をしあいながら、最近指導医となり、昨年度のHANDSにも参加してくれ、今年はスタッフとして手伝ってくれている。そこでフェローの外来指導の風景をビデオに撮ってきてもらい皆でフィードバックをしあうのだが、非常に原則に則った、カツ、その場に適切な洞察の深いコメントをしてくれる。指導の経験が十分あることがよくわかる。

所属する組織でも大きな責任を前向きに引き受け頑張っている。これからますます楽しみな輩である。そして彼が今の居場所で、幸せに、元気にやっていること。それこそが私にとって「あなたの幸せは、私の幸せでもあるのです。」

フューチャリスト宣言 (ちくま新書 656)
フューチャリスト宣言 (ちくま新書 656)
  • 発売元: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 735
  • 発売日: 2007/05/08
  • 売上ランキング: 4429
  • おすすめ度 4.0

知的挑戦,反省的実践家と学府,たった1回の経験

午前中は透析当番とプリセプター兼任.

月曜日が祝日なのを甘く見ていた.外来がすごい状況.
先週診た妊娠反応陽性の女性,スクリーニングのクラミジアが陽性のため,昨日電話をして来て頂いた.パートナーの治療の必要性も説明,前回胎嚢も見えなかったが,今回は胎嚢が見える.心拍は未だ.
透析の回診が終わると外来へヘルプ.何人診ただろうか...

昼前には約束していたZ社のM氏が松戸から来られる.家庭医療に絡めてクリニックの展開を都心でしたいとのことで,以前よりやりとりをしている.某大学との寄付口座のプロジェクトについてアドバイス.近くのおいしいおそば屋さんにて.午後戻ってクリニックを案内.少し新しいアイデアが得られたようである.

午後もひたすら診療.風邪が大半だけれど時に少し知的挑戦のある決断を必要とするケース.
集団生活の施設の50代男性数時間前に39℃の発熱.インフルエンザはその施設では1例だけ(A型).その入居者とは余り接触はないとのこと.急性胃腸炎が流行.地域ではもちろんインフルエンザがそれなりに流行っている.予防接種は済み.パーキンソニズムに対してずっとシンメトレルを飲んでいる.4月には肺炎で入院の既往も.
本日の胸部レントゲンはきれい.全身状態は良好
インフルエンザはあり得るが,
問題点
1)今検査しても偽陰性が起こりうる
2)A型インフルエンザであればシンメトレルが予防薬として,もしくは治療薬として既に働いているのではないか.逆に,耐性の可能性も
3)何らかの疾患を持つ人たちの施設入居者のため,感染流行防止の視点も.
選択肢
1)インフルエンザの検査をする.でればよいが,でなければどうするか.
2)検査せずに抗インフルエンザ薬を出す.
3)明日再度来てもらいそこで検査をする,と言いたいが,マーフィーの法則により明日は日曜日.

皆さんに厳密な回答をして欲しいのではない.その為にはもっと情報が必要なはずだろうし.(内服薬や既往歴,基礎疾患など)

確かに日々の診療は簡単なルーチンが多いが,その中に,多くの疑問や,リサーチの種が転がっている.
上記の例で,最もcost-effectiveな選択肢は何か,という決断分析等はとっても知的興奮を呼ぶ研究テーマだ.

今日診た患者さんの中では
先天性喉頭軟化症の1歳9ヶ月の子供.喘鳴,呼吸音は清.generalistとしてどう対応するか.

粘膜性軟口蓋裂の4歳の子供胸鎖乳突筋の上の3cmぐらいの腫瘤.(耳下腺,顎下腺よりは低い位置).リンパ節らしくはない.生まれたときにそれ以外の奇形は指摘されていないというが,頸部遺残膿疱の可能性は?

問題なのはこれほどまでに臨床の現場に疑問,研究の種は落ちているのに,十分に拾いきれずに流れていってしまうこと.そして,研究をする学府には,特にプライマリケアに関してはそのフィールドがないこと.

お互いがうまく組み合えれば非常によい関係がくめると思うのだが...

そして毎日何十例と診る風邪の患者さんもそれぞれの患者さんにとっては年に2,3回の大きなイベント.そのときに医療機関を受診する体験は彼らの人生経験の中で,「医療機関とは」「医師とは」などを定義する重要な体験となる.

ディズニーランドでは「スタッフにとっては毎日の,ルーチンかもしれないが,そのゲストにとっては1年間一生懸命お金を貯めて,楽しみにしてやってきた貴重な1日かもしれない」と教えるそうな.

この視点のギャップと相手の立場に立って仕事が出来る想像力をいかに毎日維持できるか.医学知識,能力も大事だが,患者さんが医者を評価するのは結構こういうところだったりする.もちろん他者に評価されるためにやるのではないが.でも医療はサービスではないか!

「その人にとっては大切なたった1回の経験」
one pair of hands, one pair of eyesというキーワードから次のエントリーに.

水,木,金と振り返りが出来ず非常にストレスになってしまった.良いサイクルの兆しか?