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家庭医に必要な手技 (advanced編)

以前のエントリー
2008/05/12 家庭医に必要な手技,手技の能力の評価と記録,hospitalistに必要な能力
で取り上げた論文

Required Procedural Training in Family Medicine Residency: A Consensus Statement

Melissa Nothnagle, Julia M. Sicilia, Stuart Forman, Jeremy Fish, William Ellert, Roberta Gebhard, Barbara F. Kelly, John L. Pfenninger, Michael Tuggy, Wm. MacMillan Rodney, STFM Group on Hospital Medicine and Procedural Training

(Fam Med 2008;40(4):248-52.)

の続編(update)が今月号のFamily Medicine誌で取り上げられている。

Advanced Procedural Training in Family Medicine: A Group Consensus Statement
Barbara F. Kelly, Julia M. Sicilia, Stuart Forman, William Ellert, Melissa Nothnagle
Fam Med 2009;41(6):398-404

一応前回の論文で規定されたcore proceduresがSTFM,AAFPに承認され、RRCに今後の改訂の際に参考にするように提出された後、特に手技の教育を多くするプログラムや、レジデンシー修了後にやる手技としてのadvanced procedureのリストが必要、という話になった。ついでに前回のcore proceduresのリストについても見直しましょうということに。そのやり方は前回の時と同様。

カテゴリー分けも前回と同様であるが、Bカテゴリーの定義を微妙に変更(以下変更を含めた再掲。変更部太字)

領域毎に,core procedures for family medicineとして
A,B,Cにランキング AをA0-A2に細分化 

A:すべての家庭医療研修プログラムがこの領域の手技の研修を提供する必要がある
A0:このレベルは,すべてのレジデントが医学部修了,もしくはレジデンシーの途中で出来るようにならなければならない,研修の証明や数の記録は不要
A1:全てのレジデントがこのレベルの手技が卒業までには独立して出来るようにならなければならない
A2:全てのレジデントがこのレベルの手技にふれ,卒業までには独立して出来るようになるための研修する機会を得られる必要がある.(必ずしも出来るようにならなくても良い)
B:このレベルは家庭医療の範囲内であるが,レジデンシー修了までに独立して出来るようになるためには数多く,集中した研修をする必要が生じうるもの
C: このレベルは家庭医療の範囲内であるが,独立して出来るようになるためには3年を修了後追加の研修が必要になり得るもの

再度procedureの定義「患者のケアに関して、手先を利用して行う必要のある、認知的、かつ運動的活動」ということに基づいて、やはり多少判断を伴う心電図なども入れましょうと言うことになった。

結果core listには9個追加が生じ、advanced listとして(2008年の論文ではあげられていなかったが)B,Cのカテゴリーに属するスキル36種類規定されることになった。(今回のtable 2と3)
この先、何を持ってそのスキルは”competent”とするかにおいて議論がさらに必要であるが(もちろん実施回数ではないことは確か)、まずはリストが設定されたことが重要であろう。

日本のプログラムにおいてもこれらを参考にしながら、自分たちのプログラムでレジデントがきちんと出来るかどうかを保証しているかどうか、保証する必要があるかを考えるきっかけとすることが出来る。

ちなみに我が社(私たちのプログラム)では、2008年にその手技を規定、去年試験運用をして、今年から本格運用をしています。まだ改善の余地はありますが、「あなたのプログラムで認証が必要な手技は難ですか」といわれたら提出できるリストがあります。(厳密には手技以外も含んでいるのですが)

前回のリストも今回のリストも部会(STFM Group on Hospital Medicine and Procedural Training)の中から20人前後のメンバーがこれだけのために丸2日間集まってやったというのがみそ。

しかもそれぞれの部会は参加が自由な(日本人のあなたも私も希望すれば入れる)ところがみそ。執行部と理事会だけでやろうとしないことが重要、そのためには裾野(会員数)が広くないと駄目。そのためには入会の魅力が必要。

どんどん進めていかないと。(言うのは簡単であるが。。。)

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家庭医に必要な手技,手技の能力の評価と記録,hospitalistに必要な能力

STFMの年次総会より戻った.沢山の旧交を温め,多くの宿題とアイデアを抱えて.
発表の一部は既に共同の知識源に蓄積されつつある.FMDRL.org

多くの人のサポートを得て行ったので,こういう形で少しずつ還元しなければと思うがなかなか目の前の問題が片づかない.

奈義ファミリークリニックの松下先生とのコラボについては後ほど.

表題の件について.
2000年より10年計画で米国のレジデンシーすべてに義務化されたACGME outcome projectはようやくそれなりの成果を見せつつある.
そもそもToo Err is HumanというIOMの報告から始まった医療の質への意識向上は,「莫大な金と時間をかけて医師を育てているはずなのに何で医療の質が悪いの?卒前教育,卒後教育ちゃんとやっているの?」というpublicの当然の疑問に答え,保証する為の方法として卒後教育はoutcomes projectとなった.
要は「XX年 OO科の研修したから終了,その科の専門医」というのをやめて,安全に独り立ちできるレベルになったら(その道のエクスパートになったらではない)研修修了としましょう.そのために,それぞれの研修プログラムは修了生が安全に独り立ちできるような教育をしていることを証拠として出しなさい.というproject.

それまでhigh qualityの研修をやっているところはその明文化をすればいいだけのこと.そうでないところは,そうできるようにプログラムを変えていかないと卒後研修としてお墨付きがもらえないということ. 質の保証と向上.

印象として感じたのは,3年間家庭医の研修をして,その成果を慌ててかき集めることは無理なので,その都度,出来るだけ負担の少ない方法で,こまめに,その記録をためていきましょう.という流れ.(case log, procedure log, precepting log, portofolio)
そして,それをやっていくことが,結局自分のプログラムの修了生の品質証明(高い商品やペットに通し番号がついていたり,血統書がついていたり,認定マークが付いていたりするのと同じ)になり,それを分野全体でやることで家庭医療,家庭医の品質証明,アピールになるということ.

わかりやすく手っ取り早いものとしては手技がある.

STFM のgroup on Hospital Medicine and Procedural Trainingの発表で,最近発表になったconsensus statementの経緯とこれからについて聞いてきた.

論文はこれ

Required Procedural Training in Family Medicine Residency: A Consensus Statement

Melissa Nothnagle, Julia M. Sicilia, Stuart Forman, Jeremy Fish, William Ellert, Roberta Gebhard, Barbara F. Kelly, John L. Pfenninger, Michael Tuggy, Wm. MacMillan Rodney, STFM Group on Hospital Medicine and Procedural Training

(Fam Med 2008;40(4):248-52.)

領域毎に,core procedures for family medicineとして
A,B,Cにランキング AをA0-A2に細分化 (table 1)

A:すべての家庭医療研修プログラムがこの領域の手技の研修を提供する必要がある
A0:このレベルは,すべてのレジデントが医学部修了,もしくはレジデンシーの途中で出来るようにならなければならない,研修の証明や数の記録は不要
A1:全てのレジデントがこのレベルの手技が卒業までには独立して出来るようにならなければならない
A2:全てのレジデントがこのレベルの手技にふれ,卒業までには独立して出来るようになるための研修する機会を得られる必要がある.(必ずしも出来るようにならなくても良い)
B:このレベルは家庭医療の範囲内であるが,独立して出来るようになるためには数多く,集中した研修をする必要が生じうるもの
C: このレベルは家庭医療の範囲内であるが,独立して出来るようになるためには3年を修了後追加の研修が必要になり得るもの

例えば皮膚であれば
A0 瞬間接着剤での裂傷の修復
A1 単純な裂傷の縫合
A2 電気メスの使用
B ボツリヌス毒素
C 該当なし
といった感じ
麻酔ならCに硬膜外が入る

全ての表は論文でみられるの参考に.

どのようにconsensusを形成したかの基準となるのが
table 2

1.患者にとってより利益があるか.家庭医が提供することでその手技へのアクセスが格段に良くなるか.救命に貢献するか
2.その手技を教えるのに十分な指導医がいるか
3.十分な数の家庭医が(修了後も)その手技を実施しているか
4.症例が十分にあるか
5.経済的に妥当か.診療報酬は適切か,導入に必要な初期コストが安価か

非常に納得.

我々のプログラムは早速これをたたき台にリストを作ることにしました(手技の達成確認はやらないと,と半年前からスタッフの間で話題になっていたので,良いきっかけとなりました)

記録,報告の方法(logging)についてはやはり今回参加したセッションを参考に

「そのときに出来ない記録は,後では出来ない」ということで,すぐに出来ることを優先.

REDI – Real-time Evaluation of Doctor’s Independence

このシステムを参考にとりあえず走り出してみることに.

最後に参考まで(特に総合診療の皆様へ).hospitalist movementに乗って,Society of Hospital Medicineがブースを出しており,そこで知ったのが,

The Core Competencies in Hospital Medicine

というリスト.オンラインでもみられます.

Section1: clinical conditions
Section2: Procedures
Section3: Healthcare systems
と分類されており,最後の所には

Care of the Elderly Patient 3.1
Care of Vulnerable Populations 3.2
Communication 3.3
Diagnostic Decision Making 3.4
Drug Safety, Pharmacoeconomics and Pharmacoepidemiology 3.5
Equitable Allocation of Resources 3.6
Evidence Based Medicine 3.7
Hospitalist as Consultant 3.8
Hospitalist as Teacher 3.9
Information Management 3.10
Leadership 3.11
Management Practices 3.12
Nutrition and the Hospitalized Patient 3.13
Palliative Care 3.14
Patient Education 3.15
Patient Handoff 3.16
Patient Safety 3.17
Practice Based Learning and Improvement 3.18
Prevention of Healthcare Associated Infections and Antimicrobial Resistance 3.19
Professionalism and Medical Ethics 3.20
Quality Improvement 3.21
Risk Management 3.22
Team Approach and Multidisciplinary Care 3.23
Transitions of Care 3.24

といった項目があるのが非常にバランスの取れたリストだな,と思いました.