タグ別アーカイブ: 発表

学会発表に役立つ過去エントリーまとめ

多くの人の学会発表のサポートをする中でいつもお話しすることの多くは既に過去のエントリーに含まれているのでそちらを参照してもらうことが多いですが、今回、それらをまとめましたので再掲としておきます。よい研究をするためのアイデア、研究方法などは別の機会に。

抄録、タイトルの作成に関して

抄録の書き方,情報の価値 2008/02/27
https://pcij.wordpress.com/2008/02/27/

効果的な学会抄録の書き方 2007/09/15
https://pcij.wordpress.com/2007/09/15/

人の集まるタイトルを付ける方法(セミナーなど)2008/02/28
https://pcij.wordpress.com/2008/02/28/

よい発表の基準の例
学会賞受賞演題スライド,読み原稿,審査基準 2008/06/16
https://pcij.wordpress.com/2008/06/16

誰を発表者に加えるべきか
Authorship(学会や雑誌での学術発表を前提とした研究、プロジェクト)2007/11/13
https://pcij.wordpress.com/2007/11/13/

そもそもなぜ発表をするのか
インパクトファクターと読者数(academic value vs fidelity) 2008/02/05
https://pcij.wordpress.com/2008/02/05/

キーワード:学会 発表 抄録 タイトル authorship

人の集まるタイトルを付ける方法(セミナーなど)

抄録絡みでついでに、タイトルのつけかたについてすこし。

下記の本の著者が、明るい選挙推進協会 発行の 私たちの広場という雑誌の 297号  2007/11月号に「行列の出来る講座の作り方」というタイトルで連載中で、その第4回 「タイトルと講師選びは慎重に!」から抜粋。

ちなみに著者の牟田静香さんというかたは、「区の男女平等センター「エセナおおた」の活動を通し、不振だった同センターの主催講座に定員オーバー続出のヒット講座を連発するようになる」(プロフィールより)

では本題。

人が集まる !行列ができる !講座、イベントの作り方 (講談社+α新書 344-1C)
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ここから抜粋(一部省略)

こんなタイトルでは人が集まらない!として6つのカテゴリー
*講座の目的をそのままタイトルにするストレート型
「男女共同参画セミナー」「男性の家庭参画セミナー」
興味の有る人が少ないテーマの場合は集まらない

*社会背景タイトル型
「晩婚化と男女のゆくえ」「男女共生時代と生きるわたし」
特に個を大切にする若い世代には興味が湧かない。時間、お金を割く価値が図りづらい

*疑問系
「DVって何?」「人権って何?」「今、子どもに必要なことは?」
著者の主催するセミナーで疑問系タイトルで行列ができたことは一度もないそうです。特に言葉の意味を参加者に聞くタイプのものは駄目だと。

*レッツ系
「メディア社会を生き抜こう」「地域で子育てを楽しもう」
やはり集まらないそうです。講座に参加して欲しいターゲットが明確でないから「〜しよう」になるのだそうです。

*認知率の低いカタカナ語
「アサーティブ(自己表現)トレーニング」

*相手の立場を否定したタイトル
「お父さん、もっと家庭のことに目を向けてみませんか?」「おやじ改革講座」
いくと肩身が狭くなるような気がする

ーーーー抜粋ここまでーーーー
学会の論文や発表のタイトルに当てはまらないことも一部あるが大体はこの線で応用が利く。

悪い例を考えてみよう
「麻疹について」(ストレート型)
「増え続ける糖尿病」(社会背景)
「自閉症スペクトラムとは?」「なぜ、今日本に家庭医が必要か」(疑問系)
「癌世代を生き抜こう」「次世代に必要なgeneralistを育てよう」(レッツ系)
「Crow-Fukase症候群の診断と治療」(認知率の低い)
「開業した臓器専門医は再教育が必要です」(相手の立場を否定)

学会の発表や論文を見ていると多いのが「〜について」「〜の取り組み」「〜の事例」「XXX(薬の名前)の効果」など

実際に上記の6つに当てはまらないタイトルを考えるとなると結構難しい。

STFMがすべてではないがSTFMの年次総会のたいとるみているとかなり工夫されているものが多い。是非参照にして欲しい。

実際の例を。自分の履歴書をざっと眺めて上記に当てはまらないものを探すと意外と少ない(おそらく最近意識し始めたから)
Lecture-Discussion: A Family Chart in the Electronic Age. Challenges and Opportunities for Family Oriented Medical Home. (今春のSTFMで採択、奈義ファミリークリニックの松下先生と発表予定)
Does This Patient Have Parkinson Disease? (JAMAに掲載)
Lecture-Discussion: ‘Can We Kill Many Birds With One Stone? (One CQI Projects Covers Multiple Educational Objectives) (2007年のSTFMで採択、発表)
学会発表が「楽しく!!」なるプレゼンテーションのコツ (佐藤健一、斎藤裕之先生と)
ワークショップ:「W-17 家庭医療研修医を上手に評価するために」(草場鉄周、山田康介、雨森正記先生と)
ポスター:「P-05 産科医との協力体制強化による家庭医妊婦健診継続率の増加」(西岡洋右先生と)
Family Doctors in Japan with Specialists’ Support can Provide Maternity Care for the Most of Pregnancy’ (2007 Europe WONCA)

昔は「〜について」「〜とは?」のオンパレードでした

研究や調査についてはその結果をタイトルにするのが一番です上記の最後の2件がそうです。
「xxxにおいて&&&を使うと中等度の効果がある/半減する/ZZZと同程度の効果がある/向上する」など。そのテーマに興味の有る人で、タイトルの主張がこれまでの周知の事実でない場合はまず関心を持ってくれます。

そういう意味でタイトルは抄録よりも大事です。タイトルによっては抄録すら読んでもらえないわけですから。

実は同じようなことは次の本にも書いてある。

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会議のタイトルで
「〜について」などはやめましょう。「どうすれば〜はよくなるか」という形にしましょうと。

タイトルにも気を配りましょう。